オーストラリアに住んでいると、日本では見たことのない虫に刺されて驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。
「サンドフライに刺されて足中が赤くなった」
「蚊に刺されたはずなのに、異常に腫れ上がって痒みが何日も治まらない」
「虫刺されで病院に行きたいけど、英語で症状を説明できるか不安」
オーストラリアには日本には生息していない吸血虫が多く、日本から持参した虫除けスプレーや市販薬では対応しきれないケースもあります。
また、現地のGP(一般開業医)を受診すると、保険の種類によってはかなりの自己負担になることもあり、自己判断で放置してしまう人も少なくありません。
目次
オーストラリアで日本人が注意すべき虫の種類と症状
オーストラリアには日本では見かけない吸血虫が数多く生息しています。
日本の蚊に刺された程度と思って放置すると、想像以上にひどい症状になることがあるため、まずはどんな虫に注意が必要なのかを把握しておきましょう。
サンドフライ(Sandfly):日本にいない”激かゆ症状”を発症する虫
サンドフライは体長1〜3mmほどの非常に小さな吸血虫で、ブリスベン、ケアンズ、ゴールドコーストなどクイーンズランド州の沿岸部に多く生息しています。
マングローブや湿った場所、ビーチの木陰、水辺のベンチ周辺で特に発生しやすく、夕方以降のビーチは要注意です。
刺された直後はチクチクとした痛みがあり、その後数時間かけて強烈なかゆみが生じます。
赤い発疹が多数できて、かゆみは1〜2週間以上続くことも珍しくありません。
掻きむしると色素沈着が起こり、痕が1〜2ヶ月消えないケースもあります。
ミジー(Midge):ビーチ・キャンプ場で大量被害
ミジー(Biting Midge)はサンドフライと同じく非常に小さな吸血虫で、海岸近くの岩場やキャンプ場、山の中など湿気の多い場所に生息しています。
25℃以上の環境で活発になり、特に雨の日や湿度の高い日に大量発生します。
ミジーに刺された直後は症状に気づきにくく、2〜3時間後から強烈なかゆみが襲ってくるという点が特徴です。
刺された箇所は大きく腫れることはなく、注射跡のような赤いポツポツが出現し、その後内出血のような色に変化します。
日本から持参した虫除けスプレーや蚊取り線香はミジーには効かないため、オーストラリア国内で販売されている虫除けを使用する必要があります。
蚊(Mosquito):約80種が生息、ロスリバー熱にも注意
オーストラリアには約80種類もの蚊が生息しており、日本の蚊と異なる種に刺されるとアレルギー反応が強く出てひどく腫れ上がることがありますが、さらに注意すべきは蚊が媒介する感染症です。
オーストラリアにはロスリバー熱やバーマ森林ウイルス感染症、マレーバレー脳炎などの風土病があります。
中でもロスリバー熱は毎年約4,800人の患者が報告されており、1〜5月(南半球の夏〜秋)頃にピークを迎えます。
症状は刺されてから3〜11日後に発症し、多発関節痛、発熱、筋肉痛、倦怠感、皮疹などが現れます。
ブルアント・ジャックジャンパーアント: 毒針でアナフィラキシーショックも
ブルアント(Bull Ant)は体長2〜4cmにもなる大型のアリで、オーストラリア全土の森林や庭に生息しています。
巣に近づくと素早くジャンプして攻撃してくる特徴をもっています。
大あごで噛みつき、さらにお尻の毒針で刺すという2段階の攻撃をするため、攻撃されると激しい痛みと腫れが生じます。
ブルアントに刺された場合、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、呼吸困難やじんましん、めまいなどの症状が出た場合は直ちに000(緊急電話)に連絡してください。
ベッドバグ(南京虫):シェアハウス、バッパーで要注意
ベッドバグ(Bed Bug)はベッドの隙間やマットレスの縫い目に潜む害虫で、シェアハウス、バックパッカーズホステル、Airbnbなど人の出入りが多い宿泊施設で発生しやすい点が特徴です。
一度に複数箇所を刺すため、非常に強いかゆみを繰り返しぶり返します。
掻きすぎると長期間痕が残ります。
マダニ(Tick):東海岸のブッシュエリアに多い
マダニはオーストラリア東海岸の森林や草地に多く生息しています。
草むらやブッシュウォーキングの際に衣服や皮膚に付着し、長時間吸血します。
マダニに繰り返し刺されることで獣肉アレルギーを発症するケースも報告されており、ファームジョブやハイキングをする方は特に注意が必要です。
マダニを見つけた場合は無理に引き抜かず、病院で除去してもらうのが安全です。
価格はいずれも10〜30錠で約AUD 8〜18です。
鎮静性(眠くなる)
- Polaramine(デキスクロルフェニラミン)
- Phenergan(プロメタジン)
かゆみが強くて眠れない夜に有効ですが、翌日の運転や機械操作に注意が必要です。


虫除けスプレー・予防グッズ(Bushman・Aerogard・RIDなど)



虫刺されは予防が最も重要です。
オーストラリアの虫には、DEET(ディート)を含む現地製品が効果的です。
日本から持ってきた虫除けスプレーはオーストラリアの虫には効きにくい場合があるため、現地で購入しましょう。
Bushman Heavy Duty(DEET 40%)はオーストラリアで最も信頼されている虫除けスプレーで、蚊、サンドフライ、マダニ、ヒル、マーチフライなど幅広い虫に効果があります。
130gエアゾールで約AUD 13〜14、225gで約AUD 20〜21です。
汗や水にも強く、1回の塗布で最大10時間持続します。
Bushman Plus(DEET 80%)はアウトドアや熱帯地域での使用に最適な超強力タイプ。
75gで約AUD 20〜23と高めですが、虫が非常に多い環境では頼もしい存在です。
Aerogard Heavy Duty(DEET 40%)はBushmanと並ぶ定番ブランドで、やや安価で大容量な点が特徴です。
300gバリューパックで約AUD 19〜20。
RIDもDEET含有の虫除けブランドとして広く販売されています。
| 用途 | 日本の定番薬 | オーストラリアの代替品 | 備考 |
|---|---|---|---|
| かゆみ止め(外用) | ムヒS、ウナコーワ | Stingose、Soov Bite、Eurax | Stingoseは刺された直後に使うと最も効果的 |
| ステロイド外用 | リンデロンVs、フルコートf | DermAid 1%、Sigmacort 1% | 日本の市販ステロイドより弱め(ヒドロコルチゾン)。強めのステロイドはGP処方が必要 |
| 抗ヒスタミン内服 | アレグラ、クラリチン | Telfast、Claratine、Zyrtec | Telfastはアレグラと同成分(フェキソフェナジン) |
| 虫除けスプレー | サラテクト、スキンベープ | Bushman、Aerogard、RID | 日本製品はDEET濃度が低いため、オーストラリアの虫には現地製品が有効 |
| 消毒・殺菌 | マキロン、オロナインH軟膏 | Savlon Antiseptic Cream、Dettol | Savlonは虫刺されの二次感染予防にも使える |
市販薬で対応できないケース|病院を受診すべき目安
軽い虫刺されは市販薬で対処できますが、以下のような症状がある場合は自己判断せず、GPを受診する必要があります。
こんな症状が出たらすぐ受診
以下のいずれかに当てはまる場合は、市販薬での対応を中止しGPまたは救急を受診しましょう。
- 刺された部位が直径10cm以上に腫れている場合
- 刺された箇所から膿や液体が出ている場合(二次感染の疑い)
- 市販薬を3〜5日使っても症状が改善しない場合
- 発熱を伴っている場合
- 刺された箇所が熱を持ち赤みが広がっている場合
- 関節痛や筋肉痛を伴っている場合
ロスリバー熱等の感染症の疑いがある場合は速やかに受診してください。
アナフィラキシーの初期症状と緊急対応
以下の症状が出た場合は、アナフィラキシーショックの可能性があるため、直ちに000(緊急電話)に連絡してください。
- 呼吸困難(息苦しさ、喉の腫れ)
- 全身のじんましん
- めまい・ふらつき
- 心拍の異常な速さ
- 意識がぼんやりする
これらの症状が1つでも出た場合は一刻を争います。
エピペンを持っている方はすぐに使用してください。
二次感染(化膿・とびひ)に要注意
虫刺されを掻きむしることで皮膚のバリアが壊れ、細菌による二次感染を起こすことがあります。
二次感染を起こすと患部が赤く腫れて熱を持ち膿が出ることがありますが、この場合はGPで抗生物質の処方が必要になります。
特にオーストラリアの夏場は高温多湿で細菌が繁殖しやすいため、虫刺されを掻かないこと、患部を清潔に保つことが二次感染予防の基本です。
オーストラリアで虫刺されの治療を受ける場合の費用と流れ
虫刺されで病院を受診する場合、オーストラリアの医療システムと費用感を事前に知っておくと安心です。
GP受診の流れと費用(Medicare適用・非適用)
オーストラリアでは虫刺されの治療もまずGP(一般開業医)を受診します。
GPでは症状の診察と、必要に応じてステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬・抗生物質などの処方を受けます。
診察費はクリニックによって異なりますが、目安として20分以内の診察でAUD 50〜95程度です。
Medicare(国民健康保険)に加入している場合、バルクビリング(Bulk Billing)対応のGPなら自己負担ゼロで受診できます。
ただし、ワーホリや観光ビザの方はMedicareに加入できないため、海外旅行保険やOSHC(留学生保険)の適用を確認してください。
受診後、処方箋を持って薬局(Chemist Warehouse等)で薬を購入します。
処方薬の費用は別途かかります。
処方される薬の例(強めのステロイド・抗生物質など)
GPで処方される虫刺されの薬は主に以下の通りです。
- 市販のヒドロコルチゾン1%より強力なステロイド外用薬(ベタメタゾン、モメタゾン等)
- 鎮静性の抗ヒスタミン内服薬(処方箋が必要な強いタイプ)
- 二次感染がある場合は抗生物質の内服薬
- 疥癬が疑われる場合は専用の全身塗布薬
これらは市販では入手できないため、GPの診察が必要になります。
オーストラリアで日本語対応できるクリニック4選
虫刺されがひどい場合や、対面での診察が必要な場合は、現地の日本語対応クリニックを受診するのも選択肢です。ここでは主要都市の日本語対応GPを紹介します。
シドニー|タウンホールクリニック(Town Hall Clinic)

| クリニック名 | タウンホールクリニック Town Hall Clinic |
|---|---|
| 住所 | Level 11, Regent Place, 501 George Street, Sydney NSW 2000 |
| 診療時間 | 月〜金 8:30〜18:00 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、皮膚科、婦人科、小児科、メンタルヘルスなど全科 |
| ポイント | 25年以上の実績。日本人通訳が常勤。海外旅行保険のキャッシュレスサービス対応。Town Hall駅・Wynyard駅から徒歩約5分。 |
| 公式サイト | https://www.townhallclinic.com.au/ |
シドニーCBD中心部に位置し、アクセス抜群のクリニックです。
経験豊富な日本人通訳が常勤しており、予約から診察、専門医への紹介まで日本語でサポートしてもらえます。
虫刺されの診察はもちろん、処方箋の説明まで日本語で受けられるため、初めてオーストラリアで病院を受診する方にもおすすめです。
メルボルン|パラマウントクリニック(Paramount Medical Clinic)

| クリニック名 | パラマウントクリニック Paramount Medical Clinic |
|---|---|
| 住所 | Upper Level Suite 4-5, The Paramount Centre, 108 Bourke Street, Melbourne VIC 3000 |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜17:30 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、皮膚科、小児科、婦人科、心療内科、予防接種など全科 |
| ポイント | 日本人看護師・受付スタッフが在籍。日本語通訳対応。処方薬に日本語の服用説明あり。学生・ワーホリ割引あり。日本語フリーダイヤル1800 677 177。 |
| 公式サイト | https://paramountclinic.com.au/ |
メルボルンCBDのBourke Street沿いにあるアクセス良好なクリニックです。
日本人看護師・受付スタッフが在籍しており、電話予約から受付まで日本語で対応してもらえます。
処方薬にも日本語の服用説明書が付いてくるので安心です。
予約なしでの受診も可能ですが、事前予約が推奨されています。
ブリスベン|さくらファミリークリニック(Sakura Family Clinic)

| クリニック名 | さくらファミリークリニック Sakura Family Clinic |
|---|---|
| 住所 | Level 11, 116 Adelaide Street, Brisbane QLD 4000 |
| 診療時間 | 月〜金 8:30〜17:00 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、皮膚科、小児科、産婦人科、心療内科、予防接種など |
| ポイント | 日本人女性医師が在籍。受付から診察まですべて日本語対応。海外旅行保険キャッシュレス対応。OSHC申請代行あり。ZoomやLINEでのオンライン診察にも対応。 |
| 公式サイト | https://sakuraclinic.com.au/ |
ブリスベンの日本人コミュニティで高い信頼を得ているクリニックです。
日本人の吉田まゆみ医師が在籍し、受付から診察、処方まですべて日本語で完結します。
虫刺されや皮膚トラブルの相談実績も豊富で、ブリスベン以外からもオンライン診察を受けることが可能です。
ゴールドコースト|日本語医療センター ゴールドコースト(Japanese Medical Service Gold Coast)

| クリニック名 | 日本語医療センター ゴールドコースト Japanese Medical Service Gold Coast |
|---|---|
| 住所 | Shop B002, Australia Fair Shopping Centre, 40 Marine Parade, Southport QLD 4215 |
| 診療時間 | 9:00〜18:00(年中無休、週末・祝日は要予約) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 歯科以外の全科(内科、皮膚科、婦人科、小児科など) |
| ポイント | 1997年開業のゴールドコースト初の日本人向けクリニック。日本人通訳・看護師が常勤。オーストラリアフェアショッピングセンター内でアクセス便利。3時間無料駐車場あり。海外旅行保険キャッシュレス対応。 |
| 公式サイト | https://www.nihongoiryo.com.au/ |
ゴールドコーストのサウスポートにあるショッピングセンター内に位置し、買い物のついでに受診できる便利なクリニックです。
1997年の開業以来、ゴールドコースト在住の日本人に愛され続けており、虫刺されやアトピーなどの皮膚トラブルにも多くの実績があります。
サーファーズパラダイスからも車で約5分とアクセス良好です。
オーストラリアの虫刺され対策まとめ
最後に、オーストラリアでの虫刺され対策のポイントを整理します。
① 予防が最優先
Bushman(DEET 40%以上)やAerogardなどオーストラリア製の虫除けスプレーを使用し、肌の露出を最小限にしましょう。
夕方以降のビーチは特に注意が必要です。
② 刺されたら「洗う→冷やす→塗る→掻かない」
StingoseやDermAid(ヒドロコルチゾン)など、現地の薬局で買える市販薬で早めに対処しましょう。
③ 「様子見OK」と「すぐ受診」の判断ラインを知っておく
腫れが10cm以上に広がった場合、膿が出ている場合、発熱を伴う場合はGP受診のサインです。
呼吸困難などアナフィラキシー症状が出たら即000に電話してください。
④ 日本の薬を海外で使える選択肢も知っておく
オーストラリアの市販ステロイドは日本の市販薬より弱いものが中心です。
⑤ 日本語対応のクリニックを事前に調べておく
虫刺されが悪化してから慌てないよう、自分の滞在都市で日本語対応可能なGPの連絡先を控えておきましょう。
