オーストラリアに住んでいると、
「季節が日本と逆なので、いつ感染症に気をつければいいのかわからない」
「GPに行ったらパナドール飲んで寝てと言われただけだった」
「そもそも英語で症状を説明するのが不安」
――こうした悩みを抱える日本人は少なくありません。
実は、オーストラリアでは2025年にインフルエンザの報告数が過去最多を記録し、百日咳も急増するなど、感染症リスクは決して低くありません。
しかも日本と医療制度が大きく異なるため、「いつ・どこで・何をすべきか」の判断軸が日本の感覚とはまったく違います。
この記事では、オーストラリア在住の日本人が知っておくべき主要な感染症の種類、現地で手に入る市販薬・処方薬の情報、GPや薬局の使い方、そして日本語で相談できる医療リソースまで、実用的な判断材料をまとめました。
オーストラリアで日本人が注意すべき感染症とは?
日本とオーストラリアで異なる「感染症シーズン」
オーストラリアは南半球に位置するため、冬は6月〜8月です。
日本の冬(12月〜2月)とは半年ずれており、インフルエンザやRSウイルスなどの呼吸器感染症は日本人の感覚からすると「夏に流行する」ように感じます。
渡航直後の日本人はこの季節のずれに対応できず、冬用の常備薬を持ってきていなかったり、「オーストラリアは暖かい国」というイメージから油断してしまうケースが多いです。
また、北部(クイーンズランド州やノーザンテリトリー)は熱帯〜亜熱帯気候で、蚊が媒介するデング熱やロスリバーウイルス感染症のリスクがあります。
南部の温帯地域とはまったく異なる感染症プロファイルを持つ点も押さえておきましょう。
2025年に流行した主な感染症まとめ
2025年のオーストラリアでは、複数の感染症が同時に流行する「トリプルデミック」が大きな話題となりました。
インフルエンザ、RSウイルス(RSV)、COVID-19が同時期に高水準で流行し、医療機関に大きな負荷がかかりました。
オーストラリアで最も知名度の高い整腸プロバイオティクス。乳酸菌LGG株・Bb-12株など配合。
下痢・便秘・抗生物質使用後の腸内環境回復に。要冷蔵の製品が多い点に注意。

常温保存可能な製品が多く、旅行や持ち運びに便利。年齢別(赤ちゃん・子供・成人・高齢者)のラインナップが豊富なのが特徴。
複数菌株をブロードに配合し、日常的な腸活向け。


処方制薬。胃の動きを促進しつつ吐き気を抑える。術後・片頭痛・胃腸炎の嘔吐に使用。
錐体外路症状(手の震え・筋肉のこわばり)の副作用リスクがあり、若年者・長期使用で注意。日本のプリンペランと同一成分。
市販の乗り物酔い止め。ヒヨスチン(スコポラミン)またはジメンヒドリナートを主成分とし、タイプにより異なる。
乗車30〜60分前に服用。強い眠気・口の渇きが出やすい。緑内障・前立腺肥大の人は使用不可。

蚊が媒介する感染症|デング熱・ロスリバーウイルスなど
オーストラリア北部で注意すべき蚊媒介感染症
オーストラリアの温帯地域(シドニーやメルボルン)に住んでいると意識しにくいですが、北部の熱帯地域では蚊が媒介する感染症が複数報告されています。
・デング熱
クイーンズランド州北部(ケアンズ周辺)で毎年報告があり、高熱・関節痛・発疹が特徴です。
・ロスリバーウイルス感染症とバーマ森林ウイルス感染症
オーストラリア固有の蚊媒介感染症で、関節痛や筋肉痛が長期間続くことがあります。
また、マレーバレー脳炎や日本脳炎も、北部や内陸部の特定地域でリスクがあります。
虫よけ対策と現地で買えるリペラント製品
蚊媒介感染症に対してはワクチンがない(デング熱)ものが多く、最も有効な予防策は蚊に刺されないことです。
オーストラリアの薬局やスーパーでは、DEET(ディート)配合の虫よけスプレーが多数販売されています。
代表的な製品としてBushman’s(ブッシュマンズ)やAerogard(エアロガード)、OFF!(オフ)などがあります。
DEET 80%という高濃度が特徴。オーストラリアのアウトドア定番。最も強力な虫よけで、蚊・ブヨ・ダニに長時間効果。
肌への刺激が強いため、子供や敏感肌には注意。プラスチック製品を溶かすことがある。

DEET低濃度〜ピカリジン配合の製品が多く、ファミリー向け。肌に優しく日常使いしやすい。
スプレータイプが主力。Bushman’sより効果はマイルドだが、一般的な蚊よけには十分。

世界的ブランドでDEET 15〜30%程度の中濃度帯が主力。Bushman’sとAerogardの中間的な位置づけ。
屋外レジャーや旅行に幅広く使える。

DEET濃度が高い製品(20〜50%)ほど効果が長持ちしますが、乳幼児への使用には注意が必要です。
本格アウトドアならBushman’s、日常・家族要ならAerogard、バランス型をとるならOFF!など、用途によって使い分けることをおすすめします。
また、子ども向けにはピカリジン(Picaridin)配合の製品が推奨されています。
いずれも目・口の周り・傷口への使用は避けること。
日本脳炎ワクチンが推奨されるケース
オーストラリアでは、トレス海峡諸島やクイーンズランド州北部に長期滞在する場合に日本脳炎ワクチンの接種が推奨されています。
日本で定期接種を受けている方は基本的にカバーされていますが、接種歴が不明な場合は渡航前に確認しておきましょう。
百日咳・麻疹|ワクチン接種率低下で再流行中
オーストラリアで百日咳が急増している背景
2024年、オーストラリアでは約57,000件の百日咳が報告され、パンデミック前の水準を大幅に上回りました。
2025年も24,000件以上が報告されており、高水準が続いています。
その背景には、コロナ禍での小児ワクチン接種率の低下があります。
百日咳ワクチン(DTPa)は日本でも定期接種に含まれていますが、海外では接種スケジュールが異なる場合があります。
特に乳幼児がいるご家庭は、お子さんのワクチン接種歴を渡航前に必ず確認してください。
渡航前に確認すべきワクチン接種歴
オーストラリアへの渡航前には以下のワクチンの接種歴を確認することが推奨されています。
・麻疹・風疹・おたふく風邪(MMR)
日本では2回接種が標準。1回のみの世代(1990年4月1日以前生まれ)は追加接種を検討。
・百日咳(DTPa/Tdap)
成人の追加接種が推奨される場合あり。特に妊婦は毎回の妊娠で接種推奨。
・破傷風
最終接種から10年以上経過している場合は追加接種を。
・インフルエンザ
渡航先の冬季に合わせて現地で接種。
・日本脳炎
北部への長期滞在者のみ推奨。
RSV(RSウイルス)・COVID-19|冬に同時流行する呼吸器感染症
RSVとは?小児・高齢者が特に注意
RSV(Respiratory Syncytial Virus)は呼吸器に感染するウイルスで、特に2歳未満の乳幼児と高齢者が重症化しやすい感染症です。
ほぼすべての子どもが2歳までにRSVに感染するとされていますが、一部は細気管支炎や肺炎に進行し入院が必要になることがあります。
2025年からはオーストラリアのNational Immunisation Programにより、出生直後の乳児をRSVから守ることが目的として妊婦を対象としたRSVワクチンの無料接種が開始されました。
COVID-19の現在の状況と対処法
2025年現在、COVID-19は引き続き低水準で循環していますが、パンデミック期のような大規模流行は見られていません。
重症化リスクは大幅に低下しており、日常的な感染対策(手洗い・換気)と高リスク者へのワクチン追加接種が推奨されています。
薬局ではCOVID-19の迅速抗原検査キット(RAT)が市販されており自宅で簡単に検査可能です。
陽性の場合は、GPに連絡して抗ウイルス薬(パキロビッド等)の処方を相談しましょう。
オーストラリアで日本語対応可能なクリニック5選
オーストラリアの主要都市には、日本語対応のGPやクリニックがいくつかあります。
感染症で体調を崩した際、日本語で症状を伝えられる安心感は大きいです。以下に代表的なクリニックを紹介します。
シドニー|日本語医療サービス タウンホールクリニック(Town Hall Clinic)
| クリニック名 | 日本語医療サービス タウンホールクリニック Japanese Medical Service Town Hall Clinic |
|---|---|
| 住所 | Level 4, 50 York St, Sydney |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜18:00 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、健康診断、予防接種、心理カウンセリング |
| ポイント | 25年以上の信頼と実績。日本人通訳が常勤。キャッシュレス対応。 |
| 公式サイト | https://www.townhallclinic.com.au/ |
シドニーCBD中心部のタウンホール駅・ウィンヤード駅から徒歩5分のアクセス良好なクリニックです。
経験豊富な日本人通訳が常勤しており、予約から診察、専門医への紹介まですべて日本語でサポートしてもらえます。
海外旅行保険のキャッシュレスサービスにも対応しており、初めての受診でも安心です。
メルボルン|パラマウント・クリニック(Paramount Medical Clinic)
| クリニック名 | パラマウント・クリニック Paramount Medical Clinic |
|---|---|
| 住所 | Suite 9-10, The Paramount Centre 108 Bourke Street Melbourne, Victoria 3000 |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜18:00(土曜は要確認) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、一般外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、婦人科、小児科、心療内科、精神科(日本人サイコロジストによるカウンセリングも受けられます) 各種予防接種、各種健康診断 |
| ポイント | 日本人のために開院したクリニック。薬に日本語で服用方法が記載。学生・ワーホリ割引あり。 |
| 公式サイト | https://paramountclinic.com.au/ |
メルボルンの日本人のために開院したGPクリニックです。日本語フリーダイヤル(1800 677 177)で予約可能です。
処方される薬には日本語で服用方法が記載されており、専門医や検査機関への受診時も同行通訳を手配してもらえます。
学生・ワーキングホリデーの方は診察料が割引になるのも嬉しいポイントです。
メルボルン|Doctor Aiko(Healthcare On Collins)
| クリニック名 | Doctor Aiko(Healthcare On Collins内) Healthcare On Collins |
|---|---|
| 住所 | L4/250 Collins St, Melbourne VIC 3000 |
| 診療時間 | 月 08:30~17:00 火・木 13:30~17:00 金曜日 9:30~16:30 水・土 08:30~12:30 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科、メンタルヘルス、健康診断 |
| ポイント | 25年以上の臨床経験を持つ日本人女性GP。メンタルヘルスのカウンセリングにも対応。 |
| 公式サイト | https://www.doctoraiko.com.au/ja |
オーストラリアで25年以上GPとして活躍する日本人女性医師・愛子先生が在籍するクリニック。
メルボルンCBDのCollins Street沿いにあり、対面・オンライン診療の両方に対応しています。
メンタルヘルスのサポートにも力を入れており、日本の精神科医と連携しているのが特徴です。
パース|日本語医療センター パース(International Medical Centre Perth)
| クリニック名 | 日本語医療センター パース International Medical Centre Perth |
|---|---|
| 住所 | Level 1, 713 Hay Street, Perth WA 6000 |
| 診療時間 | 月〜金 8:00〜17:00 / 土 9:00〜12:00 ※夜間・日曜・祝日は受付なし。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 内科 外科 整形外科 耳鼻咽喉科 小児科 眼科 産婦人科 泌尿器科 (性行為感染症) 皮膚科 アレルギー科 心療内科 精神科 など(歯科を除く) |
| ポイント | 1999年開業。日本人通訳が常勤。パースで唯一の日本語対応GP。海外旅行保険キャッシュレス対応 |
| 公式サイト | https://nihongoiryocentre.com.au/ |
パースCBD中心部のHay Streetに位置する、パースで唯一の日本語対応GPクリニックです。
1999年の開業以来、20年以上にわたり日本人患者の診療をサポートしています。
日本人通訳が常勤しているため、皮膚科の症状も正確に伝えることができ、専門医への紹介が必要な場合もスムーズに対応してもらえます。
ゴールドコースト|日本語医療センター(Japanese Medical Service Gold Coast)
| クリニック名 | 日本語医療センター ゴールドコースト Japanese Medical Service Gold Coast |
|---|---|
| 住所 | Shop B002, Australia Fair Shopping Centre, 40 Marine Parade, Southport QLD 4215 |
| 診療時間 | 9:00~18:00 完全予約制(電話にて確認) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 歯科以外、小児科から婦人科、内科、外科などすべての診療科を含めて診察しています。 ※GPと呼ばれる一般医における日本語通訳サービスを提供しています。 |
| ポイント | ゴールドコースト初の日本人クリニック。20年以上の実績。女性ドクター2名在籍。海外旅行保険で10km圏内の無料送迎サービスあり。 |
| 公式サイト | https://www.nihongoiryo.com.au/ |
1997年に開業したゴールドコーストで最も歴史のある日本語対応クリニックです。
オーストラリアフェアショッピングセンター内にあり、3時間の無料駐車場やトラムのSouthport駅からのアクセスも便利。
海外旅行保険加入者には10km圏内の無料送迎サービスも提供しており、交通手段がない方にも利用しやすい環境が整っています。
まとめ|オーストラリアの感染症対策で押さえておきたいポイント
オーストラリアで安心して暮らすために、感染症対策として押さえておきたい判断ポイントを整理します。
1. 季節が逆であることを意識する
オーストラリアの冬(6〜8月)がインフルエンザやRSVの流行シーズンです。
渡航前に冬用の常備薬を準備し、ワクチン接種のタイミングも現地の季節に合わせましょう。
2. GP制度を理解し、かかりつけを事前に確保する
体調を崩してから病院を探すのでは遅い場合があります。
日本語対応のGPを事前にリサーチし、予約方法や診療時間を確認しておきましょう。
3. 軽症は薬局の薬剤師に相談する
オーストラリアでは軽症の場合、GPではなく薬局の薬剤師に相談するのが一般的です。
パナドールやGastro-Stopなど、基本的な市販薬の名前を覚えておくと安心です。
4. ワクチン接種歴を渡航前に確認する
百日咳や麻疹の流行が報告されています。
特に1990年以前生まれの方はMMRワクチンの追加接種を検討してください。
5. 日本語で相談できる手段を確保しておく
オーストラリアの医療水準は世界的にも高い水準にありますが、日本とは制度が大きく異なります。正しい知識と準備があれば、不要な不安を抱えずに海外生活を楽しむことができます。
この記事が、皆さんの健康管理のお役に立てれば幸いです。
