オーストラリアに来てから、急に湿疹(eczema)が出るようになった——そんな声は日本人の間で少なくありません。
気候や水質の変化、強い紫外線が肌に負担をかけやすく、日本では起きなかった肌トラブルに悩まされるケースが多いのです。
さらに、オーストラリアでは日本のように直接皮膚科を受診することができず、まずGP(一般開業医)にかからなければならないという制度の違いもあります。
加えて、「市販のステロイドが弱くて効かない」「GPで処方された薬の名前がわからない」「皮膚科の予約が数週間先」といった不安を抱える方も多いでしょう。
「日本で使っていた塗り薬を海外でも続けたい」「現地の医療費が高くて相談しづらい」という方は選択肢のひとつとして知っておくと安心です。
目次
オーストラリアで湿疹(eczema)に悩む日本人が多い理由
オーストラリアに渡航してから湿疹が悪化した、あるいは初めて湿疹が出たという日本人は少なくありません。
その背景には、日本とは大きく異なる環境要因と医療制度の違いがあります。
気候・紫外線・水質の変化が肌に与える影響

オーストラリアは日本に比べて空気が乾燥している地域が多く、特に冬場は湿度が著しく低下します。
肌のバリア機能が低下しやすく、もともとアトピー体質の方でなくても乾燥性湿疹を発症するケースがあります。
さらに、オーストラリアはオゾンホールに近く、世界でもトップクラスの紫外線量にさらされる国です。
日焼けによる肌ダメージが湿疹の悪化因子となることも珍しくありません。
また、水道水の硬度やカルキ(塩素)濃度が日本と異なるため、シャワーや入浴後に肌が突っ張る・かゆくなるという声も多く聞かれます。
日本との医療制度の違い──GP受診が最初のステップ
日本では「皮膚科に直接行く」のが当たり前ですが、オーストラリアではまずGP(General Practitioner:一般開業医)を受診する必要があります。
GPが診察して必要と判断した場合のみ、皮膚科専門医(Dermatologist)への紹介状を発行してもらえます。
この仕組みを知らずに専門医に直接予約しようとしても断られたり、Medicareのリベート(保険還付)が適用されないことがあるため注意が必要です。
GPの予約は通常数日〜1週間程度かかり、さらに皮膚科専門医の予約となると2〜4週間以上待つことも珍しくありません。
英語で自分の皮膚症状を正確に説明するのは医療英語を知らないと難しく、「かゆい」「赤い」「ジュクジュクしている」といった表現に困る方も多いでしょう。
湿疹の原因と種類|まず自分の症状を知ろう
湿疹と一口に言っても、原因や症状のパターンはさまざまです。
オーストラリアのGPや薬局で適切な対応をするためにも、自分の湿疹がどのタイプかを把握しておくことが大切です。
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)
最も一般的な湿疹の形で、遺伝的な体質が背景にあります。
乾燥した肌に赤み・かゆみが繰り返し現れ、肘の内側・膝の裏・首・顔などに出やすいのが特徴です。
オーストラリアでは「eczema」というとこのアトピー性皮膚炎を指すことがほとんどです。
花粉症や喘息を合併している場合が多く、環境の変化(渡豪)で悪化するケースが目立ちます。
接触皮膚炎(contact dermatitis)・かぶれ
特定の物質に触れることで起きる湿疹です。
オーストラリアに来てから使い始めた洗剤、ボディソープ、日焼け止め、ジュエリーなどが原因となることがあります。
原因物質を避ければ改善するのが特徴ですが、何が原因かわからない場合はGPでのパッチテストが必要になることもあります。
乾燥性湿疹(皮脂欠乏性湿疹)・手湿疹
肌の皮脂や水分が不足することで起きる湿疹です。
オーストラリアの乾燥した気候では特に冬場に多く、すねや腕に粉をふいたようなカサカサが出て、ひどくなると赤みやかゆみを伴います。
飲食店やクリーニング業で水仕事が多いワーホリの方は、手湿疹にも注意が必要です。
オーストラリアの薬局で買える湿疹向け市販薬(OTC)
オーストラリアでは、Chemist WarehouseやPriceline Pharmacyなどの薬局で湿疹向けの市販薬を購入できます。
ただし、日本と比べてOTC(市販)で買えるステロイドの強さが弱い点は押さえておきましょう。
ステロイド外用薬(ヒドロコルチゾン)──DermAid・Pharmacy Health
オーストラリアの薬局で処方箋なしに購入できるステロイド外用薬は、有効成分ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)のみです。これは日本でいう「ウィーク〜マイルド」に相当する弱めのステロイドで、軽度の湿疹・かぶれに適しています。
代表的な製品は以下のとおりです。
オーストラリアで湿疹の処方薬を手に入れる方法
市販のヒドロコルチゾンでは対応しきれない中等度〜重度の湿疹には、GP(一般開業医)から処方薬を出してもらう必要があります。
ここでは、オーストラリアでの処方薬入手の流れを解説します。
GP(かかりつけ医)を受診して処方してもらう流れ
オーストラリアで湿疹の処方薬を手に入れるステップは以下の通りです。
①GPに予約を入れる(電話またはオンライン)
②診察を受けて症状を説明
③GPが適切なステロイド外用薬などを処方
④処方箋を持って薬局(Chemist/Pharmacy)で薬を受け取る
GPは全科に対応する総合医のため、軽度〜中等度の湿疹であればGPの段階でマイルド〜ストロングクラスのステロイド外用薬を処方してもらえます。
皮膚科専門医(Dermatologist)への紹介状が必要なケース
以下のようなケースでは、GPから皮膚科専門医への紹介状(referral)が発行されます。
GPでの治療で改善しない場合、広範囲に及ぶ重度の湿疹、感染症を併発している場合、内服薬や注射薬(免疫抑制剤・生物学的製剤)が必要な場合が該当します。
紹介状があれば、皮膚科専門医の受診にMedicareのリベートが適用されます。
ただし、専門医の予約は2〜4週間以上待つことが一般的です。
処方薬の種類──強いステロイド・カルシニューリン阻害薬・Dupixent
GPや皮膚科専門医が処方する主な湿疹治療薬は以下の通りです。
ストロング〜ベリーストロングのステロイド外用薬:ベタメタゾン吉草酸エステル(Betnovate)やモメタゾン(Elocon)など。中等度以上の湿疹に使用。
カルシニューリン阻害薬:ピメクロリムス1%クリーム(Elidel)はPBS(薬価補助制度)適用で入手可能。
ステロイドが使えない顔や首などのデリケートな部位に用いられます。
タクロリムスはオーストラリアではプライベート処方での調剤となります。
生物学的製剤(Dupixent / デュピルマブ):重度のアトピー性皮膚炎で他の治療が効かない12歳以上が対象。
PBS適用により1処方あたりA$31.60(コンセッションカード保有者はA$7.70)で入手可能です。
PBS適用外の場合は年間約A$20,000以上と非常に高額です。
オーストラリアで湿疹治療にかかる費用
オーストラリアでの湿疹治療にどのくらいの費用がかかるのかは、保険の種類や受診先によって大きく異なります。
特にMedicare非加入の日本人にとっては、想定以上の出費になるケースがあります。
GP診察料・皮膚科専門医の費用とMedicare
オーストラリアで日本語対応のクリニック5選
現地で直接受診したい方のために、日本語で対応可能なGPクリニックを主要都市別にご紹介します。
湿疹・皮膚トラブルの相談も可能です。
シドニー|タウンホールクリニック 日本語医療サービス(Japanese Medical Service Town Hall Clinic)

| クリニック名 | タウンホールクリニック 日本語医療サービス Japanese Medical Service Town Hall Clinic |
|---|---|
| 住所 | Level 4, 50 York St, Sydney NSW 2000 |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜18:00 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 内科・小児科・婦人科・皮膚科・泌尿器科 ほか全科 |
| ポイント | 25年以上の実績。日本人通訳が常勤。海外旅行保険のキャッシュレス対応あり |
| 公式サイト | https://www.townhallclinic.com.au/ |
シドニーCBD中心部にあり、Town Hall駅・Wynyard駅から徒歩約5分とアクセス抜群のクリニックです。
日本人通訳が常勤しているため、皮膚トラブルの細かい症状も日本語で相談できます。
専門医への紹介が必要な場合も、通訳が同行してくれるサービスがあります。
シドニー|ワールドシティ日本語医療・歯科センター(WorldCiti Medical / Dental)

| クリニック名 | ワールドシティ日本語医療・歯科センター WorldCiti Medical / Dental |
|---|---|
| 住所 | Level 1, 722 George St, Sydney NSW 2000 |
| 診療時間 | 月・火・木・金・土(日本人スタッフ対応日) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科・皮膚科・歯科 ほか |
| ポイント | 医療と歯科が同一施設。日本人スタッフによる通訳対応 |
| 公式サイト | https://www.worldciti.com.au/ |
医療と歯科が同じ施設にあるため、一か所で複数の相談ができる利便性が特徴です。
日本人スタッフが在籍しており、予約時から日本語で対応してもらえます。
海外旅行保険のキャッシュレスにも対応しています。
メルボルン|パラマウントクリニック(Paramount Medical Clinic)

| クリニック名 | パラマウントクリニック Paramount Medical Clinic |
|---|---|
| 住所 | Upper Level Suite 4-5, The Paramount Center, 108 Bourke Street, Melbourne VIC 3000 |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜18:00(土曜は要確認) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 内科・皮膚科・婦人科・小児科・心療内科 ほか全科 |
| ポイント | 日本人のために開院。処方薬に日本語で服用方法を記載。学生・ワーホリ割引あり |
| 公式サイト | https://paramountclinic.com.au/ |
日本人の患者向けに開院したGPクリニックで、処方されるほとんどの薬に日本語の服用方法が記載されているのが大きな特徴です。
乾燥肌・アトピー・肌荒れなどの皮膚トラブルにも対応しており、専門医への通訳同行サービスも利用できます。
学生やワーホリの方は診察料の割引があります。
ブリスベン|さくらファミリークリニック(Sakura Family Clinic)

| クリニック名 | さくらファミリークリニック Sakura Family Clinic |
|---|---|
| 住所 | Level 11, 116 Adelaide Street, Brisbane QLD 4000 |
| 診療時間 | 月〜金 9:00〜17:00 ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 内科・皮膚科・産婦人科・小児科・心療内科・外科 ほか全科 |
| ポイント | 日本人女性医師が在籍。受付・診察・処方まで完全日本語対応。LINEで予約可 |
| 公式サイト | https://sakuraclinic.com.au/ |
ブリスベンの日本人コミュニティで高い信頼を得ているクリニックです。
日本人の吉田まゆみ医師が在籍し、受付から処方まですべて日本語で完結します。
皮膚科的な症状(ニキビ・湿疹・じんましん・乾燥肌)にも幅広く対応。
オーストラリアの医療事情に精通した先生が、オンライン診察(ZoomやLINE)にも対応しているため、ブリスベン以外の方も利用可能です。
ゴールドコースト|日本語医療センター ゴールドコースト(Japanese Medical Centre Gold Coast)

| クリニック名 | 日本語医療センター ゴールドコースト Japanese Medical Centre Gold Coast |
|---|---|
| 住所 | Shop B002, Australia Fair Shopping Centre, 40 Marine Parade, Southport QLD 4215 |
| 診療時間 | 完全予約制(電話: 07-5526-3532) ※変更される場合があります。詳細は公式サイトをご確認ください。 |
| 対応診療科 | 一般内科・皮膚科・婦人科・小児科 ほか歯科以外全科 |
| ポイント | 1997年開業の老舗。女性医師在籍。海外旅行保険で10km圏内の無料送迎あり |
| 公式サイト | https://www.nihongoiryo.com.au/ |
ゴールドコーストのオーストラリアフェアショッピングセンター内にある老舗クリニックです。
1997年の開業以来、日本人スタッフが常勤し、予約から処方まで日本語で対応しています。
女性医師も在籍しているため、デリケートな相談も安心です。海外旅行保険加入者には10km圏内の無料送迎サービスもあります。
まとめ|オーストラリアで湿疹に悩んだときの判断ポイント
オーストラリアで湿疹(eczema)に悩んだときの判断ポイントを整理します。
①まずは保湿を徹底する:QV DermcareやCetaphil Pro、DermaVeenなど、オーストラリアの薬局で買えるエモリエントで肌のバリア機能を守ることが湿疹ケアの基本です。
②軽度なら市販のDermAidで対応可:DermAid 0.5%〜1%(ヒドロコルチゾン)は軽度の湿疹に有効ですが、7日以上使っても改善しない場合はGPを受診しましょう。
③日本の「ストロング」ステロイドはオーストラリアでは処方箋が必要:リンデロンVsなどのストロングクラスのステロイドは市販では買えません。GPで処方箋を出してもらう必要があります。
④感染の兆候(膿・浸出液・発熱)があれば自己判断しない:細菌感染が疑われる場合は、ステロイドではなく抗生物質が必要です。すぐにGPを受診してください。
⑤日本の処方薬を海外で続けたい場合は御用聞きドクターも選択肢に:日本人医師が日本語でLINE診療を行い、日本の皮膚科処方薬をオーストラリアの自宅に届けてくれます。「現地の医療費が高い」「英語で皮膚症状を伝えるのが不安」という方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
