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2026/03/17

オーストラリアの鎮痛剤ガイド|市販薬・処方薬・日本との違い・購入時の注意点を徹底解説

オーストラリアの鎮痛剤ガイド|市販薬・処方薬・日本との違い・購入時の注意点を徹底解説

頭痛、歯痛、腰痛、生理痛
——日常的な痛みに対して、日本では薬局やドラッグストアでさまざまな鎮痛剤が手軽に購入できます。

しかしオーストラリアに来ると、「日本で使っていた痛み止めが見当たらない」「コデイン配合の鎮痛剤が買えない」「薬のパッケージが英語で成分がわからない」といった戸惑いを感じる方は少なくありません。

オーストラリアの鎮痛剤の規制は日本と大きく異なります。

2018年2月にコデイン配合薬が処方箋なしでは購入できなくなり、2025年2月にはパラセタモール(アセトアミノフェン)の販売パック数にも新たな規制が導入されました。

日本では当たり前に手に入る鎮痛剤がオーストラリアでは処方箋が必要だったり、そもそも存在しなかったりします。

この記事では、オーストラリアで購入できる鎮痛剤の種類・入手方法・日本との違い・注意点を網羅的に解説します。

まず知っておきたい|オーストラリアの薬の分類制度(スケジュール制度)

日本とは異なる「どこで買えるか」のルール

オーストラリアでは、すべての医薬品がTGA(Therapeutic Goods Administration=薬品・医療品行政局)によってスケジュール(Schedule)という分類で管理されています。

このスケジュールによって「スーパーで買えるか」「薬局で買えるか」「薬剤師に相談が必要か」「処方箋が必要か」が決まります。

分類 名称 購入場所 鎮痛剤の例
Unscheduled 一般販売 スーパー・コンビニでも購入可 パラセタモール(16錠以下)、イブプロフェン(小パック)
Schedule 2(S2) Pharmacy Medicine 薬局の棚(薬剤師の相談不要) パラセタモール(50錠以下)、イブプロフェン
Schedule 3(S3) Pharmacist Only Medicine 薬局のカウンター裏(薬剤師の相談必要) パラセタモール(51〜100錠)、Maxigesic、高用量NSAIDs
Schedule 4(S4) Prescription Only 医師の処方箋が必要 コデイン配合薬、トラマドール、高用量ジクロフェナク
Schedule 8(S8) Controlled Drug 医師の処方箋+厳格な管理 オキシコドン、モルヒネ、フェンタニル

 

日本人が最も戸惑うポイントは、コデイン(codeine)配合の鎮痛剤がオーストラリアでは処方箋なしで購入できなくなったことです。

日本では「ロキソニン+コデイン」のような組み合わせの市販薬がありますが、オーストラリアでは2018年2月以降、コデインを含むすべての薬が処方箋必須(Schedule 4)に変更されています。

オーストラリアで市販(処方箋なし)で買える鎮痛剤

パラセタモール(Paracetamol)=日本のアセトアミノフェン・カロナール

オーストラリアで最も広く使われている鎮痛剤がパラセタモールです。

日本ではアセトアミノフェン(商品名:カロナール、タイレノール)として知られる同一成分で、頭痛・歯痛・生理痛・発熱などに幅広く使用されます。

スーパーマーケット(Woolworths、Coles)やコンビニでも16錠以下の小パックなら購入可能です。

薬局では50錠までが棚売り、51〜100錠は薬剤師への相談が必要です。

2025年2月の規制変更:TGAの決定により、2025年2月1日からパラセタモールの販売規制が強化されました。

スーパーでの販売は最大16錠(以前は20錠)に、薬局の棚売りは最大50錠(以前は100錠)に縮小。さらにブリスターパック(PTPシート包装)が義務化されました。これは意図的・偶発的な過量摂取を防ぐための措置です。

用法・用量:成人は1回500mg〜1,000mg(1〜2錠)を4〜6時間ごと。1日最大4,000mg(8錠)。

用量を超えると肝臓に深刻なダメージを与える可能性があります。

イブプロフェン(Ibuprofen)=日本のブルフェン・イブ

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の代表格です。日本ではイブ(EVE)などのブランドで販売されている同一成分です。
鎮痛作用に加えて抗炎症作用があるため、筋肉痛・関節痛・生理痛・歯痛に特に効果的です。

オーストラリアではNurofenブランドが最も知名度が高く、スーパーや薬局で広く販売されています。低用量(200mg)はスーパーでも購入可能です。

用法・用量:成人は1回200〜400mgを4〜6時間ごと。1日最大1,200mg(OTC用量)。

空腹時の服用は胃腸障害のリスクがあるため、食後に服用するのが推奨されます。

パラセタモール+イブプロフェンの配合薬

市販の薬・錠剤のイメージ

コデインが市販で買えなくなって以降、オーストラリアではパラセタモールとイブプロフェンを組み合わせた配合薬の人気が急上昇しています。

代表的な製品にはMaxigesic(パラセタモール500mg+イブプロフェン150mg)、NuromolMersynofenがあります。

これらはSchedule 3(薬剤師専用医薬品)に分類されているため薬局のカウンター裏にあり、薬剤師に声をかけて購入する必要があります。

その他のOTC鎮痛関連製品

・アスピリン(Aspirin)
 鎮痛・解熱・抗炎症作用。Disprin等のブランドで販売。16歳未満には使用禁止(ライ症候群のリスク)。

・外用鎮痛剤(Topical Pain Relief)
 ジクロフェナクゲル(Voltaren Emulgelなど)。イブプロフェンゲル、カプサイシンクリームなどがあり、筋肉痛・関節痛の局所治療に使用。

薬(成分) 豪州のブランド例 日本の対応薬 購入場所 主な用途
パラセタモール Panadol、Panamax カロナール、タイレノール スーパー・薬局 頭痛・歯痛・発熱
イブプロフェン Nurofen、Advil ブルフェン、イブ スーパー・薬局 頭痛・生理痛・炎症性の痛み
パラセタモール+イブプロフェン Maxigesic、Nuromol (日本に同等品なし) 薬局(薬剤師に相談) 中等度の痛み全般
ジクロフェナク(外用) Voltaren Emulgel ボルタレン 薬局 筋肉痛・関節痛(塗り薬)
アスピリン Disprin、Aspro Clear バファリン(成分異なる場合あり) スーパー・薬局 頭痛・発熱・軽い痛み

オーストラリアで処方箋が必要な鎮痛剤|コデイン・トラマドール・オピオイド系

コデイン配合薬:2018年2月から処方箋必須に

日本では「ロキソニン」と並んで広く使用されるコデイン配合の鎮痛剤ですが、オーストラリアでは2018年2月1日以降、コデインを含むすべての薬が処方箋必須(Schedule 4)になりました。

変更前はPanadeine(パラセタモール+コデイン8mg)やNurofen Plus(イブプロフェン+コデイン12.8mg)が薬局で購入できましたが、現在はGPの処方箋がなければ入手できません。

処方箋が必要なコデイン配合薬にはPanadeine Forte(パラセタモール500mg+コデイン30mg)などがあります。

この変更の背景には、コデイン含有OTC製品の乱用・依存症の増加、および肝障害・胃腸障害による入院と死亡の増加があります。

TGAはOTC用量のコデインでは鎮痛効果がコデインなしのパラセタモールやイブプロフェンと大差ないとする根拠も示しています。

その他の処方箋鎮痛剤

薬(成分) Schedule 主な適応 注意点
コデイン配合薬
(Panadeine Forte等)
S4 中等度〜やや強い痛み 依存性あり。短期使用が原則
トラマドール
(Tramal等)
S4 中等度〜強い痛み オピオイド系。依存性あり。セロトニン症候群に注意
ジクロフェナク(内服・高用量)
(Voltaren等)
S4 関節炎・術後の痛み 心血管リスクに注意。胃腸障害
ナプロキセン(高用量)
(Naprosyn等)
S4 関節炎・腰痛・生理痛 NSAIDsの中では心血管リスクが比較的低い
オキシコドン
(Endone、OxyContin等)
S8 強い痛み(術後・がん性疼痛) 強オピオイド。厳格な管理。依存性高い
モルヒネ S8 強い痛み(がん性疼痛・緩和ケア) 最も強力な鎮痛剤の一つ。厳格管理

オーストラリアのオピオイド規制強化(2020年〜)

オーストラリアではオピオイドによる死亡や入院の増加を受け、2020年6月に処方オピオイドの規制が大幅に強化されました。

主な変更点は以下の通りです。

・即効性オピオイド
 「短期間の強い痛み」にのみ使用が認められ、パック数の削減も実施。
・徐放性オピオイド
 慢性非がん性疼痛への使用が原則不可に。12ヶ月以上の長期使用には第二の処方医による評価が必要。

さらに、各州でリアルタイム処方モニタリング(SafeScript等)が導入され、医師や薬剤師が患者の処方履歴を確認できるようになっています。

日本とオーストラリアの鎮痛剤の違い|ロキソニンは買える?

日本で定番の鎮痛剤がオーストラリアで手に入るかチェック

日本の薬 成分 オーストラリアでの入手
ロキソニンS ロキソプロフェン 入手不可。TGAに未登録。オーストラリアでは販売・処方されていない
バファリンA アスピリン+緩衝剤 アスピリン単体は購入可能(Disprin等)
イブA錠 イブプロフェン Nurofenなどで入手可能
カロナール アセトアミノフェン Panadol(パラセタモール)で入手可能
ボルタレン(内服) ジクロフェナク 高用量内服は処方箋必要。外用ゲルは薬局で購入可
セデスハイ エテンザミド+ACE処方 入手不可。同一配合の製品はオーストラリアに存在しない
トラムセット トラマドール+アセトアミノフェン 処方箋必要(S4)

書類・確認作業のイメージ

ロキソニンが買えない場合の代替策

日本で最もポピュラーな鎮痛剤「ロキソニン」の成分であるロキソプロフェン(Loxoprofen)はオーストラリアではTGAに登録されておらず、処方も市販もされていません

同じNSAIDsとして代替となるのはイブプロフェン(Nurofen等)ジクロフェナク(Voltaren等)ですが効果の出方には個人差があります。

日本から鎮痛剤を持ち込む際のルール

個人使用目的で3ヶ月分以内の医薬品をオーストラリアに持ち込むことは原則可能ですが、以下の点に注意が必要です。

①コデイン・トラマドールなどのオピオイド系を含む薬

英語の処方箋や医師のレターを携帯することが強く推奨されます。税関で質問される可能性があります。

②オーストラリアのSchedule 8(規制薬物)に該当する薬(オキシコドン・モルヒネなど)

事前にTGAへの申請が必要な場合があります。

③市販薬(ロキソニンSなど)

大量に持ち込む場合「個人使用を超える」と判断される可能性があります。常識的な範囲内の量に留めてください。

オーストラリアの薬局で鎮痛剤を買う方法|英語フレーズ付き

薬局(Pharmacy / Chemist)の仕組み

オーストラリアの薬局はPharmacyまたはChemistと呼ばれ、大手チェーンにはChemist Warehouse、Priceline Pharmacy、TerryWhite Chemmartなどがあります。

薬局に入ると、鎮痛剤は以下の3つの場所に配置されています。

・店内の棚(Self-Service)
 小パックのパラセタモール、イブプロフェン。レジに持っていくだけで購入可能。

・薬局エリアの棚(Pharmacy Medicine)
 中パックのパラセタモール、イブプロフェン。レジは薬局カウンターで。

・カウンターの裏(Pharmacist Only)
 Maxigesicなどの配合薬、大パックのパラセタモール。薬剤師に声をかける必要があります。

薬局で使える英語フレーズ集

日本語 英語フレーズ
頭痛に効く薬はありますか? Do you have something for a headache?
強めの痛み止めがほしいです I need something stronger for pain relief.
生理痛に効く薬はどれですか? What would you recommend for period pain?
パラセタモールとイブプロフェンは一緒に飲めますか? Can I take paracetamol and ibuprofen together?
胃に優しい痛み止めはありますか? Do you have a painkiller that’s gentle on the stomach?
この薬に他の薬との飲み合わせの問題はありますか? Are there any interactions with other medicines?

オーストラリアの薬剤師は非常に知識が豊富で、軽い症状であれば医師を受診せずに薬剤師に相談するだけで適切な薬を選んでもらえます

「I’d like to speak to the pharmacist, please(薬剤師さんに相談したいのですが)」と伝えれば無料で相談に応じてくれます。

慢性的な痛みがある場合|GPへの相談と長期的な痛みの管理

市販の鎮痛剤で対処し続けるリスク

頭痛や腰痛などの痛みが慢性化している場合、市販の鎮痛剤を長期間にわたって自己判断で服用し続けることにはリスクがあります。

パラセタモールの長期大量使用は肝機能障害、NSAIDs(イブプロフェン・ジクロフェナク等)の長期使用は胃腸障害・腎機能障害・心血管リスクの上昇が報告されています。

痛みが2週間以上続く場合は市販薬での自己対処を続けるのではなく、GPに相談することを強く推奨します。

GPでの慢性痛管理の流れ

GPでは痛みの原因を特定するための検査(血液検査・画像検査)を依頼し、原因に応じた治療を提案してくれます。

オーストラリアの慢性痛ガイドラインではオピオイドは最終手段とされ、まずは非薬物療法(理学療法・運動療法・心理療法)と非オピオイド薬の組み合わせが推奨されています。

必要に応じてPain Specialist(疼痛専門医)やPhysiotherapist(理学療法士)への紹介も行われます。

理学療法はGPからのChronic Disease Management Plan(慢性疾患管理計画)を通じて、Medicare補助で年間5回まで受けることが可能です。

まとめ|オーストラリアの鎮痛剤で知っておくべきポイント

最後に、オーストラリアで鎮痛剤を使用する際の重要ポイントを整理します。

①ロキソニン(ロキソプロフェン)はオーストラリアでは入手不可。

代替としてイブプロフェン(Nurofen等)やジクロフェナク(Voltaren等)がNSAIDsの選択肢になります。
合わない場合は御用聞きドクターで日本の薬を相談できます。

②コデイン配合薬は2018年2月から処方箋必須。

以前のようにPanadeineやNurofen Plusを薬局で気軽に買うことはできません。
代わりにパラセタモール+イブプロフェンの配合薬(Maxigesic等)が薬剤師に相談のうえ購入可能です。

③パラセタモールの販売規制が2025年2月に強化。

スーパーでは最大16錠、薬局棚では最大50錠に縮小。51〜100錠は薬剤師への相談が必要です。
ブリスターパック包装も義務化されました。

④市販の鎮痛剤で最も汎用的なのはパラセタモール(Panadol)とイブプロフェン(Nurofen)。

パラセタモールは抗炎症作用がないため、炎症を伴う痛み(関節痛・筋肉痛・歯痛など)にはイブプロフェンの方が適しています。
ただしイブプロフェンは胃腸への負担があるため食後に服用してください。

⑤痛みが2週間以上続く場合はGPに相談を。

オーストラリアのガイドラインでは、慢性痛の管理にオピオイドは最終手段。
理学療法・運動療法・心理療法と非オピオイド薬の組み合わせが推奨されています。

⑥日本から鎮痛剤を持ち込む場合は3ヶ月分以内。

オピオイド系薬(コデイン・トラマドールなど)を含む場合は英語の処方箋・医師レターの携帯が推奨されます。
Schedule 8薬はTGAへの事前申請が必要な場合があります。

⑦薬剤師への相談は無料。

英語に不安がある場合でも「Do you have something for pain?」の一言で対応してもらえます。
薬剤師はオーストラリアの医療において重要な役割を担っており、軽症であれば医師の受診なしに適切な薬を選んでもらえます。

オーストラリアの鎮痛剤事情は日本と大きく異なりますが、正しい知識があれば適切に痛みをコントロールできます。